開発者コラム

開発者コラム

12.06

2016

ここにご注意!!殺菌のポイントは? ②

編集者:オキシライザー商品部

 以前のコラムでは殺菌のポイント①として塩素の天敵である有機物(汚れなど)をしっかり落とすことの重要性をご説明しましたが、今回も前回に引き続き塩素の性質を考慮した殺菌のポイントをご説明します。なお、前回同様、殺菌に使用する電解水や次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒剤の殺菌成分をここでは敢えて“塩素”という名前に置き換えてお話します。

食材殺菌のポイント

電解水と食材を確実に接触させること

 まずは、食材などに付着している菌を殺すには、汚れをしっかりと落とし、電解水と食材を確実に接触させる必要があることを覚えておきましょう。次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒剤も同様です。

 汚れを落とした食材を電解水の中に沈め、時々かき混ぜるようにして電解水と食材がまんべんなく接触するようにします。葉物野菜などは葉と葉の間まで電解水が十分にいきわたるようにします。
 果物(特に輸入柑橘類)などは表面にワックスがついたままだと、電解水がはじかれてしまい菌に接触できない場合があります。水をはじくようなワックスや油などは洗剤などでしっかり落としてから殺菌しましょう。また、オクラやネギなどを切った時に出るネバネバした液にも注意が必要です。

感染症対策に使用する場合のポイント

 テーブルや取っ手、手すりなどを除菌するときは、フキンを使うことが多いと思います。汚れを拭き取るという目的では、フキンを“しっかり”絞って使うのが一般的ですが、除菌目的の場合、このような使い方ではあまり効果は期待できません。フキンは電解水で除菌されますが、しっかりと絞ってしまっては菌に電解水を接触させることはできません。
 従って、フキンを使う場合には、軽く絞り、除菌対象がびっしょり濡れるくらいの電解水を含ませて浸すように拭き取り、その後水拭きをしますます。

 ちなみに… 厚生労働省のノロウィルスQ&A(最新:平成27年6月30日改定版)においても患者のふん便や吐ぶつを処理する際は「次亜塩素酸ナトリム(塩素濃度200ppm)で浸すように床を拭き取り、その後、水拭きします~」と書かれています。“拭く”のではなく“浸す”という感覚です。
電解水の中でもビーコロン水は次亜塩素酸ナトリムの希釈液と同等とみなした取り扱いができますので、感染症対策においても厚生労働省が指導する次亜塩素酸ナトリウムの使い方と同じ使い方ができます。

噴霧しても効果があるの?

「部屋の中でスプレーや加湿器を使って電解水を噴霧すればインフルエンザやノロウィルスに効果があるの?」という質問が、冬期間に多く寄せられます。
 細菌やウィルスは一定濃度の塩素がないと簡単に殺すことはできませんし、噴霧することで塩素成分が殆どなくなってしまうので、空間を満遍なく除菌することは難しいと考えています。密閉した部屋ならまだしも、玄関や廊下、ホールなどのオープンスペースでは空間除菌の効果は極めて疑問です。中には「高濃度の電解水を噴霧すれば効果が期待できるのでは」という人もいますが、人体や周辺環境への影響(腐食など)が大きく、現実的ではありません。
 弊社としては、電解水を噴霧するのではなく、例えば、空気清浄機の中に常に電解水を含ませたフィルターを入れ、そのフィルターを通して空気を循環・除菌するという方法などが理にかなっているのではないかと考えています。
いずれにしても、殺菌のポイントは、塩素を含んだ一定量以上の電解水と菌を確実に接触させなければ効果は期待できないということをしっかりと覚えておきましょう。

08.17

2016

「大量調理施設衛生管理マニュアル」が改正されました。

編集者:オキシライザー商品部

平成28年7月1日付け改正のポイントは?

平成28年7月1日付けで「大量調理施設衛生管理マニュアル」が改正されました。今回の改正では、平成27年度に国立医薬品食品衛生研究所において実施された「ノロウィルスの不活化条件に関する調査」において塩素系消毒剤やエタノール系消毒剤の中にはノロウイルスに対して不活化効果を期待できるものがあること等の知見が得られたので、器具、容器等に塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸水、次亜塩素酸水等)やエタノール系消毒剤を使用する際の留意点、有機物存在下で不活化効果を示した亜塩素酸水又は次亜塩素酸ナトリウム等を十分な洗浄が困難な器具に使用する際の留意点が追加されています。まだ確認されていない方はお早めにご確認ください。

厚生労働省 大量調理施設衛生管理マニュアル
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000130495.pdf

平成27年度 ノロウィルスの不活化条件に関する調査報告書
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000125854.pdf

06.22

2016

ここにご注意!!殺菌のポイントは? ①

編集者:オキシライザー商品部

殺菌に使用する電解水や塩素系消毒剤の天敵は何?

 殺菌に使用する電解水(殺菌性電解水)や次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒剤の主な殺菌成分は次亜塩素酸(HClO)や次亜塩素酸イオン(ClO-)等です。厳密に言うと、これらは「遊離塩素」と呼ぶべきものですが、ここでは敢えて“塩素”という名前に置き換えてお話します。 今回はその“塩素”の天敵についてお話します。

塩素の天敵、それは”汚れ”です。

 食材には土や泥など様々な汚れが付着しています。また、まな板や包丁等の調理器具にも油脂やタンパク等の汚れが付着しています。塩素はこれらの有機物汚れに接触すると著しく濃度が低下し、殺菌力を発揮できなくなります。
 従って、殺菌前に食材や調理器具等に付着している汚れを十分に洗い落とすことが極めて重要な作業になります。(菌は汚れの中に隠れています。汚れ落としは、汚れと一緒に菌を洗い流すことと電解水を確実に菌に接触させるための前作業と考えてください。)
 ちなみに、電解水で手洗いする場合も、予め手の汚れを十分に洗い落とさないと除菌効果は期待できません。



《 食材殺菌の手順 》

  • ①汚れ落とし
  • ②ビーコロン水で殺菌
  • ③すすぎ

さらに…
きゅうりのイボやトマトのヘタの奥は汚れや菌が入り込んでいるので入念に洗いましょう。

  •  

11.19

2015

殺菌性電解水を使う上でのシンクの選定

編集者:オキシライザー商品部

業務用シンクの材質について

一般的に業務用シンクにはステンレス鋼材が使われています。ステンレスの主成分は鉄ですが、これにクロムやニッケルなどの物質を添加して錆びにくくした特殊鋼の一つです。
クロムを加えると錆にくくなり、ニッケルを加えることで耐食性が向上します。
ちなみに、JIS規格では、ステンレス鋼材の材料記号を「SUS」と表記します。
また、業務用シンクは大きく分けて汎用グレードであるSUS430のシンクと耐食性に優れたSUS304のシンクがあります。
SUS304のシンクが錆びにくく、殺菌性電解水には好都合なのですが、価格はSUS430の概ね2培になります。
なお、既存シンクのグレードがSUS430なのかSUS304なのかを見分ける方法として磁石が付くか否かで判断することができます。

SUS430

18クロムステンレスとも呼ばれ、主に家電部品やシンクなどの厨房機器に使われています。耐食性に優れた汎用のステンレス鋼材ですが、他の鋼種に比べるとやや耐食性に劣る部分があります。なお、この鋼材は磁性があり、磁石がくっ付きます。

SUS304

クロムとニッケルの含有量が多いことから、耐食性、耐熱性に優れています。この鋼材は一般的に磁性がありません。従って、磁石はくっ付きません。

殺菌性電解水(強酸性電解水と電解次亜水)の腐食性

金属の種類にもよりますが、鉄やステンレスに対する殺菌性電解水の腐食性は概ね以下の通りです。微酸性電解水が最も錆びにくく、強酸性電解水が最も錆びやすいということです。

強酸性電解水

強酸性電解水の酸化力は極めて強力で、微量の塩分も含んでいるので、そのままにしておくと錆びが発生します。また、塩素ガスが発生しますので近くにある金属も錆びやすくなります。(但し、三室型電解槽で生成した強酸性電解水は塩分は殆ど含まれていません。)
1日の作業終了後にスポンジ等でシンクをしっかりと水洗いすれば錆の発生を抑制することができますが、それらの作業を怠ると比較的早い時期に錆が発生します。
こうした強酸性電解水の特性を考慮すると、できるだけ錆にくい材質(SUS304)のシンクを選定されることをお奨めします。


  • 強酸性電解水を使ったSUS430シンクの状態(例)

  • SUS430シンクには磁石(マグネット)がくっ付きます。

  • 強酸性電解水や電解次亜水を使ったSUS304シンクの状態(例)

ビーコロン水(電解次亜水)

ビーコロン水は弱アルカリ性ですが、塩素と微量の塩分を含んでいるので、シンクや金属製の調理器具等に使用した後は、水で洗い流す必要があります。
但し、腐食性は比較的弱いので、シンクは1日の作業終了後にスポンジ等でしっかりと水洗いすれば錆の発生を抑えることができます。
錆にくいということではSUS304のシンクがベターですが、作業終了後のお手入れがしっかりできればSUS430のシンクでも十分対応できます。
ちなみに、装置を導入いただいているお客様の殆どがSUS430のシンクをお使いになっています。